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第1回 壺屋焼シーサーづくり見学

~島袋陶器所~

 沖縄県の企業(お店、団体)の仕事内容や製造工程など、普段はあまり見ることのできない過程や、サービスの舞台裏も含めてご紹介していくこの企画。
 今回は記念すべき1回目の記事になります。


 経済産業大臣指定・沖縄伝統工芸品に指定されている「壺屋焼」。その、壺屋焼を代々継承されている島袋陶器所・陶工である島袋常栄さんのシーサー作りを見学させてもらいました。

沖縄のシーサーについて

 シーサーは獅子のこと。現在では神社の狛犬のように、口を開いたものとつぐんだ物を一対として「阿吽(あうん)の呼吸」の体勢をしています。屋根の上や門柱の上などに置き、厄除けや日除けの守護神とされています。
 沖縄県内ではあらゆるところにシーサーがいます。ライオンズマンションのライオンがシーサーなのも沖縄ならでは。全国にある有名チェーンの飲食店やスーパーにもちゃんとシーサーがいます。
 伝統的な厳つい表情のものも多いですが、見ていて思わず笑顔になるような愛らしいものもたくさん。
お土産のシーサー探しも良いですが、町の中の個性あふれるシーサーを探しに、散歩するのもお勧めです。

壺屋と壺屋焼

やちむん通り、平和通り側の入り口です。2009年に壺屋陶芸センターがオープンしました。
やちむん通り、平和通り側の入り口です。2009年に壺屋陶芸センターがオープンしました。

 牧志公設市場を中心に観光客など人の密度の高い地区のすぐそばに焼物の町・壺屋があります。 
 壺屋の目抜き通りである「やちむん通り」。散歩をしながら、歴史の重みを感じる器や数々、表情豊かなシーサーなどを見学でき、買い物も楽しめます。
 また、一本小道(スージ)に入れば、細い曲がりくねった迷路のような町に、昔ながらの工場や民家を見ることができます。


 壺屋焼は、県内の3つの焼物窯を1682年に壺屋に集めたところから始まりました。琉球王朝の統治や戦後のアメリカの統制など沖縄の300年の歴史の中で継承の危険もあったそうですが、近年は、沖縄旅行やシーサーの人気などもあり、古くからの手法による焼物はもちろん、かわいらしさを兼ね備えたような趣向のものも時代に合わせて創られています。

陶工・島袋常栄氏

日本伝統工芸師・壺屋陶器事業協同組合理事長

島袋 常栄(しまぶくろ じょうえい) 
 陶  歴

昭和45年 父常恵(島袋陶器所)に師事
平成 2年 沖縄県優秀技能者として県知事賞受賞
平成13年 第53回 沖展・準会員賞受賞、沖展会員に推挙される
平成14年 経済産業大臣指定(壺屋焼)伝統工芸士に認定される
平成14年 壺屋陶器事業協同組合理事長就任
平成14年 日本伝統工芸士会作品展入賞
平成14年 沖縄県工芸公募展県知事優秀賞受賞
平成14年 第23回産業まつり県知事賞優秀賞受賞
平成17年 愛知万博での「日本の匠」にてシーサーを実演
平成19年 経済産業大臣功労者賞受賞

背後に張ってあるチラシは常栄さん作。シーサーの絵も迫力あります。
背後に張ってあるチラシは常栄さん作。シーサーの絵も迫力あります。

 子どものころから、シーサーに興味をもち、シーサー専門の陶工になった島袋常栄さん。
 常栄さんの島袋陶器所では、伝統的な「手びねり」と「押し型」でシーサーを作っています。どちらの作り方も、シーサー1体ずつ職人さんの手で表情が作られているため、良く見ると一体ごとの表情が違います。
「創っているときに自分が楽しい気分のときは、シーサーの表情にも出てしまいますね」と、常栄さん。シーサーを創るとき、特に目を入れている時などは、気を込めているとのこと。
 シーサーは魔よけであり、建物や家を守る守護神なので、雑音のないときに集中して、魂がこもるように1体のシーサーに立ち向かっておられます。
相手を威圧する表情ながら、こちらを伺うような優しい目をしていたり、愛想の良い表情だったり…常栄さんの作っている姿が思い浮かぶようです。


 そんな常栄さんの、シーサー作りの現場を見学させていただきました。

島袋常栄氏のシーサーづくり。見学レポート!

今回は「手びねり」でのシーサー作りを拝見しました。手びねりの手法は、ロクロで作った筒状の同と脚2本をつなぎ合わせて創る、すべての過程に職人の手が入る作り方。
シーサーの姿勢の角度をその都度決められる手法です。
今回は「手びねり」でのシーサー作りを拝見しました。手びねりの手法は、ロクロで作った筒状の同と脚2本をつなぎ合わせて創る、すべての過程に職人の手が入る作り方。
シーサーの姿勢の角度をその都度決められる手法です。
今回は迫力のある「這い型」の横向き-お尻を突き出し、前かがみになった強い威嚇の姿勢をしています。常栄さんのシーサーは、左右の脚の動きが違い、前足で踏ん張っているという姿勢にも表情があります。
製作途中のおしりはちょっとかわいらしいですね。
今回は迫力のある「這い型」の横向き-お尻を突き出し、前かがみになった強い威嚇の姿勢をしています。常栄さんのシーサーは、左右の脚の動きが違い、前足で踏ん張っているという姿勢にも表情があります。
製作途中のおしりはちょっとかわいらしいですね。
頭部を作っていきます。立体感、躍動感のあるように少しずつ体に膨らみをつけています。一定の厚さで、つなぎ目など隙間などができないように体を練りだしています。
頭部を作っていきます。立体感、躍動感のあるように少しずつ体に膨らみをつけています。一定の厚さで、つなぎ目など隙間などができないように体を練りだしています。
シーサーの口の土台が現れました。シーサーの口は頭部の半分を占める大事な部位。尾は体全体のバランスを見て形や位置を決めるのだそうです。シーサー作りの陶工さんは猫など動物の動きをじっくり観察するとのことですが、確かに猫のようにしなやさがあります。
シーサーの口の土台が現れました。シーサーの口は頭部の半分を占める大事な部位。尾は体全体のバランスを見て形や位置を決めるのだそうです。シーサー作りの陶工さんは猫など動物の動きをじっくり観察するとのことですが、確かに猫のようにしなやさがあります。
ゆがみを作らせないように口に支えをして顔の製作。シーサーの顔は陶工さんごとに違いますが、常栄さんのシーサーの耳は外へピンと反り返っています。そして、全身に壺屋焼シーサーの特徴である巻き毛をつくっていきます。
ゆがみを作らせないように口に支えをして顔の製作。シーサーの顔は陶工さんごとに違いますが、常栄さんのシーサーの耳は外へピンと反り返っています。そして、全身に壺屋焼シーサーの特徴である巻き毛をつくっていきます。
目を入れたときにシーサーが決まる、とのことで目を入れるときの常栄さんはとても真摯な表情でした。
目を入れたときにシーサーが決まる、とのことで目を入れるときの常栄さんはとても真摯な表情でした。
最後に、全身の巻き毛や顔に彫り(しわ)が入れられていきます。すばやく流暢な仕業ですが、細やかに全身が仕上げられていく様子は見ていて爽快ですらあります。
★完成。彫りがすみずみまで入れられ、まるで命が宿ったようです。
最後に、全身の巻き毛や顔に彫り(しわ)が入れられていきます。すばやく流暢な仕業ですが、細やかに全身が仕上げられていく様子は見ていて爽快ですらあります。
★完成。彫りがすみずみまで入れられ、まるで命が宿ったようです。
焼き上がり。人間味のある表情をしたシーサー。
にこやかに、時に鋭くシーサーと向かい合ってきた常栄さんの表情が反映されているようです。

 沖縄県内だけではなく、県外でも常栄さんのシーサーたちは各地で家を守っています。常栄さんも、いつか遠い街を訪れた時に、自分の創ったシーサーに出会えるのが楽しみなのだそうです。
焼き上がり。人間味のある表情をしたシーサー。
にこやかに、時に鋭くシーサーと向かい合ってきた常栄さんの表情が反映されているようです。

 沖縄県内だけではなく、県外でも常栄さんのシーサーたちは各地で家を守っています。常栄さんも、いつか遠い街を訪れた時に、自分の創ったシーサーに出会えるのが楽しみなのだそうです。

もっとシーサーを知りたい&見たい方は…。

島袋常栄さんのシーサーを見る&買う

常栄さんのシーサーを見る。(設置・展示)
□ てんぶす那覇(那覇/国際通り) シーサーと面獅子
□ おきなわ屋スクランブル店 (那覇/国際通り) 面獅子
□ 沖縄ガス株式会社 (那覇/西町)
□ 沖縄明治乳業株式会社 (浦添市/牧港)
□ NHK沖縄放送局 (那覇市 おもろまち)
□ 沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター (うるま市 洲崎) 

常栄さんのシーサーを購入する。

□島袋陶器所・直売店 TEL098-868-2507
 那覇市壺屋1-22-38(やちむん通り)
□千寿乃市場 TEL 098-860-0015 
 那覇市牧志3-2-10ぶんかテンブス館1F 
 営業時間 /10:00~20:00 
壺屋陶芸センター内。
壺屋陶芸センター内。
■ 2009年2月にオープンした、「壺屋陶芸センター」
 壺屋町民会自治会運営のこちらのセンターでも、常栄さんの作品を購入することができます。
 喫茶スペースでは町内の陶工さん作のカップを選び、珈琲をいただくことができます。

□ 壺屋陶芸センター
  那覇市壺屋1-9-33(やちむん通り入り口すぐ)
   TEL 098-863-2298 営業時間/10:00~18:00

あなたも作ってみませんか?那覇市伝統工芸館での体験教室

■□■体験工房~壺屋焼~■□■
 島袋常栄さんの島袋陶器所が担当している体験教室。あなただけのシーサー、ロクロの焼物を作ることができます。
●所要時間は1~2時間。
●1ヵ月後に焼き上げたものをお渡し、発送します。
●料金3,000円
●毎日 10時、13時、15時~ に開講
●お問合せ 那覇市伝統工芸館
 TEL 098-868-7866